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スペシャルムービー公開中!

史上最悪の連続誘拐殺人事件。今、ひとりの少女の命を懸け、残虐で狡猾な誘拐犯との絶体絶命の交渉が始まる―。

© 2014 TOMBSTONES MOVIE HOLDINGS,LLC ALL RIGHTS RESERVED.

配給:ポニーキャニオン

INTRODUCTION

今、世界で最も熱いスター俳優リーアム・ニーソンが挑むサスペンス・ミステリーー

『シンドラーのリスト』でアカデミー賞®主演男優賞にノミネートされ、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『バットマンビギンズ』といった超大作で重厚な存在感を披露。輝かしいキャリアに飽き足らず、アクション・シリーズ『96時間』の“無敵の父親"役で驚愕の新境地を切り開いたリーアム・ニーソンこそは、ハリウッドのみならず世界中で今最も“熱い"スター俳優と言えるだろう。そんなニーソンがタフでハードボイルドな魅力を放ちつつ、持ち前の演技力を遺憾なく発揮した『誘拐の掟』は、予測不可能な衝撃が幾度となく待ち受け、観る者の胸に迫るエモーションに満ちあふれたサスペンス・ミステリーである。

交渉不可能な倒錯的な誘拐魔と心に傷を負った元刑事の対決が始まる!

アメリカ探偵作家クラブ(MWA)のグランドマスター賞など数々の受賞歴を誇る巨匠、ローレンス・ブロックの代表作“マット・スカダー"シリーズの一編「獣たちの墓」を映画化した本作は、伝統的なディテクティヴ・ストーリーの様式に則りながらも、あらゆる観客を圧倒するであろう特異な見どころがぎっしりと詰まっている。神出鬼没かつ大胆不敵な誘拐を次々と行う二人組の犯人の目的は、法外な身代金をせしめるだけでなく、おのれの倒錯的な欲望を満たすこと。
この世のモラルやルールがまったく通用しない“絶対的な悪"との全面対決に身を投じる主人公スカダー。交渉不可能な誘拐魔から人質を奪還するため、時に凄みを利かせて相手を威嚇し、時にしたたかな心理戦を仕掛けるスカダーの度胸と知恵とスキルに惚れ惚れとせずにいられない。

注目の若手&子役やハリウッドトップクリエイター陣

リーアム・ニーソンの脇を固めるキャスト&スタッフも実力派の豪華な顔ぶれとなっている。TVシリーズ「ダウントン・アビー」や『ザ・ゲスト』のダン・スティーヴンス、スカダーの小さな相棒TJを、キッズラッパーの“アストロ"ことブライアン・ブラッドリー。クライマックスで重要な役目を担う絶世の美少女ダニエル・ローズ・ラッセルの“美しすぎる人質"ぶりも、観客の目を釘付けにするに違いない。監督を務めたのは、スティーヴン・ソダーバーグ監督の『アウト・オブ・サイト』でアカデミー賞®脚色賞にノミネートされ、『マイノリティ・リポート』でスティーヴン・スピルバーグ監督と組んだベテラン脚本家のスコット・フランク。加えてフランシス・F・コッポラが惚れ込んだ若き天才撮影監督、ミハイ・マライメア・Jrのカメラが捉えたニューヨーク各地の冬の情景が、魅惑的な哀愁を帯びたムードを作り出している。

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STORY

1999年、NYを震撼させた連続誘拐殺人事件。今、ひとりの少女の命を懸け、心に傷を負った元刑事が立ち上がる―。

ニューヨーク市警の元刑事である無免許の私立探偵マット・スカダーのもとに、不吉な依頼が舞い込んできた。裕福なドラッグ・ディーラーの美しき妻が何者かに誘拐され、40万ドルの身代金を奪われたうえに、惨たらしい手口で惨殺されたのだ。
スカダーの丹念な調査の結果、正体不明の二人組の犯人は警察に通報できない麻薬関係者の身内ばかりを狙い、血も涙もない凶行を繰り返していることが明らかになる。やがて快楽殺人鬼でもある犯人たちは、新たな獲物として愛くるしい14歳の美少女の拉致を実行。その交渉役を任されたスカダーは、刑事時代に犯した過ちの赦しを求めるかのように、常軌を逸した誘拐魔たちに敢然と立ち向かっていくのだった……。

CAST

心に闇を抱える元NYPDの無免許私立探偵[マット・スカダー]

8年前、ある事件をきっかけに警察を引退し、
無免許ながら私立探偵をひっそりと営む。
連続誘拐事件に巻き込まれ、
類まれなる交渉術で猟奇的誘拐犯に挑む。

LIAM NEESON
62歳の今がまさにアツい! アイルランドが生んだ円熟の豪優!リーアム・ニーソン

2014年の出演作品7本、今年2月に行われた世界最注目スポーツの祭典“スーパーボウル"でも彼の出演CMがベストCMに選ばれ、60歳を越えた今なお輝きを放ち続けるビッグスター。1952年、英国北アイルランドに生まれ、演劇界でそのキャリアをスタートさせ、『エクスカリバー』(81)で映画デビュー。ハリウッドで本格的にキャリアを重ね、アカデミー賞®7部門受賞に輝いたS.スピルバーグ監督作品『シンドラーのリスト』(93)で主演のオスカー・シンドラーを演じ、自身も主演男優賞にノミネート、96年の『マイケル・コリンズ』ではヴェネチア国際映画祭で男優賞を受賞、名優の地位を確固たるものにする。その後『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)、『バットマン ビギンズ』(05)、『ダークナイト ライジング』(12)など映画史にその名を刻む名作・良作への出演が相次ぐ。08年には当たり役のアクション映画『96時間』が世界的大ヒット。家族思いの最強オヤジキャラで2本の続編を生み出し、“キレッキレなアクションオヤジ"という新たなイメージを定着させる。色気のある魅力的な声を持つ彼は声の出演も多く「ナルニア国物語」シリーズ(05、08、10)のライオンの姿をしたアスラン、英語版『崖の上のポニョ』では主人公ポニョの父フジモトを演じている。近作にはNYで息子と夜通し逃げる『ラン・オールナイト』(15)、大ヒットコメディの第二弾『テッド2』、『Silence』『A monster calls』などがある。

  • 妻を誘拐された麻薬ディーラー○ダン・スティーヴンス [ケニー・クリスト]

    1982年、英国生まれ。人気TVシリーズ「ダウントン・アビー」(10~12)でマシュー・クローリー役を演じ大ブレイク。その後、ベネディクト・カンバーバッチ共演の『フィフス・エステート/世界から狙われた男』(13・未)、『2月の夏』(13・未)、
    『ザ・ゲスト』『ナイトミュージアム/エジプト王の秘密』(14)などに出演。今最も注目を集める英国俳優の一人。

  • 弟思いの麻薬中毒者ー○ボイド・ホルブルック [ピーター・クリスト]

    1981年、米国生まれ。
    主な作品に『ミルク』(08)、『最高の人生のはじめ方』(12・未)、『ファーナス/訣別の朝』『ザ・ホスト美しき侵略者』『恋するリベラーチェ』『Very Good Girls』(13・未)、『ゴーン・ガール』(14)など。テレビミニシリーズでは、「宿敵因縁のハットフィールド&マッコイ」(12)など。『ラン・オールナイト』(15)でリーアム・ニーソンと再び共演を果たす。

  • マット・スカダーの小さな相棒○ブライアン“アストロ”ブラッドリー [TJ]

    1996年、米国ニューヨークブルックリン出身。ワン・ダイレクションなどを輩出し、最高視聴率60%を記録した英国人気音楽オーディション番組の米国版「The X Factor USA」のファーストシーズンで注目を集めたラップミュージシャン。俳優としては『earthtoecho』(14・未)、TVシリーズでは「パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット」(12)、「red band society」(14~15・未)などがある。

  • 囚われた美しき少女○ダニエル・ローズ・ラッセル [ルシア]

    米国出身。
    13歳で撮影に臨んだ本作が女優デビュー作となる。天性の美しさと演技力で早くも注目を集め、キャメロン・クロウ監督の『Aloha』(15)でブラッドリー・クーパー、エマ・ストーン、レイチェル・マクアダムスらと共演。そのほか『Pandemic』(15)などの話題作への出演が続くシンデレラガール。

STAFF

原作:ローレンス・ブロック(獣たちの墓)

米国生まれ。犯罪、ミステリー、サスペンスのフィクションを半世紀以上に渡って書き続け、100冊以上の本と多くの短編小説を出版。彼の原稿はAmerican Heritage誌、レッドブック誌、プレイボーイ誌、Linn's Stamp News紙、コスモポリタン誌、GQ誌、ニューヨーク・タイムズ紙などに掲載されている。小説のかたわら脚本も手がけ『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(07)ではウォン・カーウァイと共に書き上げている。エドガー賞とシェイマス賞を4回受賞したほか、数々の賞歴を誇る。

マット・スカダーとローレンス・ブロック 田口俊樹[翻訳家]

原作本「獣たちの墓」
ローレンス・ブロック著
田口俊樹:訳(二見文庫刊)

ローレンス・ブロックのマット・スカダー シリーズ 一覧
1.
過去からの弔鐘/1976
2.
冬を怖れた女/1976
3.
一ドル銀貨の遺言/1977
4.
暗闇にひと突き/1981
5.
八百万の死にざま/1982/PWA賞最優秀長編賞(83)
6.
聖なる酒場の挽歌/1986
7.
慈悲深い死/1989
8.
墓場への切符/1990/倒錯三部作1
9.
倒錯の舞踏/1991/倒錯三部作2/MWA賞最優秀長編賞(92)
10.
獣たちの墓/1992/倒錯三部作3
11.
死者との誓い/1993/PWA賞最優秀長編賞(94)
12.
死者の長い列/1994
13.
処刑宣告/1996
14.
皆殺し/1998
15.
死への祈り/2001
16.
すべては死にゆく/2005
17.
償いの報酬/2011
マット・スカダーとローレンス・ブロック   田口俊樹[翻訳家] 

ダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドといういわゆるハードボイルド御三家のあとを受け、アメリカでは1970年代から80年代にかけて、御三家が生み出した探偵とは一味も二味も異なる探偵が次々と登場する。肺ガンノイローゼの探偵、マッチョ探偵、やたらと貧乏な探偵、ゲイの探偵などなど。女性探偵の台頭もこの頃のことだ。ローレンス・ブロックのマット・スカダーもそんなさまざまな特長を備えた探偵たちのひとりで、当時は“免許を持たないアル中探偵"“(ロス・マクドナルドの)リュー・アーチャーへのニューヨークからの返答"というのが謳い文句だった。デビュー作は1976年の『過去からの弔鐘』で、以来2011年の『償いの報酬』まで、三十五年のあいだに十七作が書き継がれている。『誘拐の掟』の原作となった『獣たちの墓』はシリーズ第十作で、『墓場への切符』『倒錯の舞踏』に続くいわゆる“倒錯三部作"のひとつだ。前作『倒錯の舞踏』から登場し、その後シリーズに欠かせない脇役TJが活躍する作品であり、映画でもTJ役のブライアン・ブラッドリーがいい“ストリート"味を出している。スカダーの生みの親、ローレンス・ブロックだが、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)のグランドマスター(巨匠)賞も受賞しているアメリカ・ミステリー界の重鎮で、スカダー・シリーズのほかに泥棒バーニイ・シリーズ、殺し屋ケラー・シリーズなどがある。プロットをきっちりと定めて書き起こすのではなく、筆の向くまま思いのままの“語り"で読ませる作家だ。ブロック・ファンの作家、伊坂幸太郎氏はその融通無碍なる作風を“エンジンを積まないグライダー"と評している。いい得て妙だ。三年前に来日した折り、書評家、杉江松恋氏のインタヴューを受けたときのこと。こんなやりとりがあった―「何十年にもわたってこれほど多くの作品を書いてこられた一番の理由はご自分ではなんだと思われますか?」と杉江氏に問われて、ブロックさん曰く「それはもちろん大ヒット作がなかったからだよ」。そう、ユーモアも作家ブロックの大きな魅力のひとつである。

原作:ローレンス・ブロック

  • 監督・脚本:スコット・フランク

    米国の主たる映画賞を9つ受賞、14のノミネーションを誇るハリウッドを代表する脚本家。
    『ゲット・ショーティ』(95)で、ゴールデングローブ賞と全米脚本家組合賞の脚色賞にノミネートされ、『アウト・オブ・サイト』(98)ではアカデミー賞®脚色賞にノミネート、全米脚本家組合賞脚色賞受賞、その他同作で6つの賞を受賞する。
    その他の代表作は『マイノリティ・リポート』(02)、『ザ・インタープリター』(05)、『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』(08)、『ウルヴァリン:
    SAMURAI』(13)など。2007年に『ルックアウト/見張り』で監督デビューし、インディペンデント・スピリット賞の新人作品賞を受賞した。 同作でも自ら脚本を手がけている。

  • 製作:ダニー・デヴィート

    120を越す出演作品を誇る名優。日本では『ツインズ』(88)などの俳優業で知られるが、製作としても39本を手がけている。
    主な製作作品に『パルプ・フィクション』『リアリティ・バイツ』(94)、『ゲット・ショーティ』(95)、『マチルダ』(96)、『ガタカ』(97)、『アウト・オブ・サイト』(98)、『マン・オン・ザ・ムーン』(99)、アカデミー賞®作品賞ノミネートの『エリン・ブロコビッチ』(00)、『Be Cool/ビー・クール』(05)、などがある。

  • 撮影監督:ミハイ・マライメア・Jr

    1975年ルーマニア生まれ。若干29歳でフランシス・F・コッポラの『コッポラの胡蝶の夢』(07)の撮影監督の座を勝ち取る。 同作でインディペンデント・スピリット賞撮影賞ノミネート、07年の『ヴァラエティ』誌の「注目の撮影監督10人」に選出される。以後コッポラ作品の『テトロ 過去を殺した男』(09)『Virginia/ヴァージニア』(11)、その他『ザ・マスター』(12)などを手がける。近作は『Nina』。

  • 衣装デザイン:ベッツィ・ハイマン

    多くの監督に愛されるトップ衣装デザイナー。『レザボア・ドッグス』(92)、『パルプ・フィクション』(94)、『ザ・エージェント』(96)、『アウト・オブ・サイト』(98)、『あの頃ペニー・レインと』『天使のくれた時間』(00)、『バニラ・スカイ』(01)、『レッド・ドラゴン』(02)、『ラッシュアワー3』(07)、『ハプニング』(08)、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(10)など代表作多数。

COLUMN

リサーチに裏打ちされたリアルな交渉術『誘拐の掟』から読み解く“猟奇殺人”の犯人像——法政大学 越智啓太教授[犯罪心理学]
——法政大学 越智啓太教授[犯罪心理学]
犯罪捜査への心理学の応用を研究・開発するプロフェッショナル。「チーム・バチスタ」シリーズ等ドラマ作品の心理学監修や情報番組での解説など、メディアでも活躍中。

本作の特徴として、犯人の造形に関しては、実際にありえる殺人者の行動パターンであり、人質交渉技術なども含めて、しっかりサーベイした上で映画化しているものだと、犯罪心理学者として正直感心しました。 本作のような二人組の殺人鬼は珍しい。というのも、犯行が性的な目的であるため他人と共有しづらいですし、相棒がいても被害者の扱いを巡って争いが生じることが多いので、長期間活動を続けるのが難しいからです。今まで実在する二人組の連続殺人犯でこの映画のケースに近いのは、ローレンス・ビッテイカーとロイ・ノリスの二人組。彼らもバンを使って若い女性を誘拐、レイプの上、殺害を繰り返しました。また英国では鉄道レイプ犯といわれたジョン・ダフィーも一時共犯者とともに活動していました。本作のように長く活動する二人組の場合、性的な嗜好を棲み分けている場合があります。おそらく一人はレイプしたり殺害することを、もう一人は死体を解体することを目的としていたのだと考えられます。そして被害者像は、彼らの性的な嗜好を表しています。本作の場合、美女ばかりと思いきや少女も含まれているのが興味深い部分ですが、有名な例では連続殺人鬼のテッド・バンディは、長髪を真ん中から分け額を出している女性だけ30人以上殺害しました。またジョン・ウェイン・ゲイシーは、若い線の細い美男子ばかりを殺害し続けました。

本作で犯人は身代金を要求していますが、金銭目的よりも交渉自体を楽しんでいる傾向にあります。交渉の中で皮肉を言ったり、間接的な物言いをしたりしていますが、相手の恐怖や感情をコントロールすることに喜びを感じているのです。このような犯人は、人質を殺した後でも執拗に「交渉」を迫ったり、マスコミなどに手紙を送ったり電話をしたりする可能性があります。 この種の交渉でまず必要なのは、犯人はどのような人物で何を目的にしているのかを探り出すこと。前提として、人質が生きているかどうか確認する必要があります。スカダーは、交渉の原則通り、まず人質の安全を確認しますが、その方法も犯人側の安易なトリックを許さないなかなか考え抜かれた方法です。さらに、短時間の交渉の中で相手の性格(たとえば、回りくどい言い方をすることや、意外と冷静なところ)などをあぶり出すことに成功しています。これは、まさにプロの交渉人のテクニックに匹敵するでしょう。しかし、彼の方法は少し挑発的すぎるところもあります。これは彼が最初の時点で、犯人は快楽殺人犯と判断し、人質は既に死んでいると考えていたことを意味します。 本作は久々の本格探偵もの、ハードボイルドな映画です。大人の鑑賞、しかも映画や小説を読み慣れているプロの観客の鑑賞にも堪える映画であると思います。主人公もさまざまな人間的な弱さを抱えた影のある人間として描かれており、彼の苦悩に焦点を合わせる見方もありますが、一人のベテラン刑事がさまざまな経験で得てきた捜査テクニックや、人質交渉技術、犯人像の推定手法などを楽しむというのも興味深いのではないでしょうか。

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PRODUCTION NOTE

構想10年。練り上げられた脚本

ローレンス・ブロックは17冊の小説と、長編1冊分になる短編集でスカダーシリーズを書いている。監督・脚本のスコット・フランクは、この「昔ながらのミステリー」に夢中になった。「心のどこかでいつも古典的な私立探偵の映画を撮りたいと思っていた。この原作(獣たちの墓)が気に入ったのは、とてもダークな要素があるからだよ。ただのミステリーではなく何か空恐ろしいものがあって、主人公も他の人と同じように怯えるんだ」。探偵マット・スカダーシリーズの中でも最も凶悪な猟奇殺人犯と戦う倒錯三部作の最後を飾る「獣たちの墓」はこうして映画化がスタートした。
フランクがこの原作をスタジオに持ち込んだのは10年以上前のことだが、完成までの長い期間には理由があった。ブロックの大勢のファンにとって、映画版が原作に忠実であることは必須だった。本と映画には元来それぞれ固有のニーズがあることから、ローレンスと何度も話し合い、長い時間をかけて共にリサーチをしたりしながら原作の細部に手を加え、長い時間をかけて脚本を練り上げたのだ。例えば、時代背景を数年ずらして物語の設定を1999年とし、スカダーのハイテク恐怖症を強調した。「この年はミレニアムの直前、2000年に待ち受けているあらゆるパニックが起きる直前だった。ある登場人物が、『誰もが常に間違ったことを恐れている』と言っている。実際、9/11に悲惨な事件が起きるのはこの2年後だ。僕はいつも、そうした殺人者たちのことを考える。彼らはこれから起こることの前兆なのに、誰ひとり注意を払っていないんだ。僕たちは常に間違ったものを見ているんだよ」とフランクは振り返っている。

リーアム・ニーソン、新たなハマり役!探偵・マット・スカダー

脚本着手からフランク監督と原作者のブロックは何度も話し合い、特にキャスティングについては多くの時間を費やした。そんな中リーアム・ニーソンの案が出た時、思わず「夢の配役だ」とこぼしたブロックは当時をこう振り返る。「リーアムこそ、フランクがマット・スカダーとして思い描いていたような人物だったんだ。時間をかけた甲斐はあったよ。役柄にぴったりな人物を見つけることができたんだからね」。
この役柄に惹き込まれたリーアム・ニーソンは自信気に主人公像について語る。「スカダーが本を飛び出して目の前に出てくるとしたら、その大半は僕だろう。僕は独りでやっている一匹狼のキャラクターに惹かれるんだ。彼らはどこかミステリアスで、男らしくてストイックだからね。スカダーはまさに一匹狼だ。いろんな意味で落ちぶれた男だけれど、道義心と威厳はなくしていない」。
フランクは、役柄をのびのびと演じることが大切だと感じているニーソンに共感する。「リーアムにカメラを向けていると、いろんなものが見えてくる。彼には内面の深みがあるんだ。後悔に包まれて暗く沈んでいるということは、スカダーはそう悪い人間ではない。リーアムがその重みを持たせたお陰で、スカダーは単なるアクション・フィギュアやスーパーヒーローにはならなかった。この物語の中で彼は恐れ、打ちのめされるが、それが役柄をいっそう味のあるものにしている」。

実在のモデルがいた?全米震撼の二人組猟奇殺人犯

本作の特徴の一つとも言える二人組の猟奇殺人犯。二人のうち物静かなほうのアルバートを演じるアダム・デヴィッド・トンプソンは、自分の役柄を「どちらかと言えば働き者」だと表現する。もう一人のレイは犠牲者やその家族をなぶって楽しむが、アルバートは「殺すこと自体を楽しむ」と。この二人の異なる犯人はあくまでブロックの原作に基づき構築されてはいるが、その趣向・行動などから現実に起こった事件を連想せずにはいられない。猟奇殺人犯にはめずらしい二人組、ターゲットの若い女性・少女、犯行の過程をテープ録音し、ワンボックスのバンで“狩り"を繰り返す。この4つのキーワードで連想されるのは79年に全米を震撼させたローレンス・ビッテイカーとロイ・ノリス。“マーダー・マック"と名付けたバンに乗り込み13歳~18歳の少女6名(内1名は逃げ延びた)を次々にさらい、残忍な犯行を繰り返した。ブロックの描くキャラクターは監獄で未だ生き続けるこの凶悪犯人像を想起させ、そこに誘拐・交渉をかけあわせることにより、サスペンス・ミステリーの世界をより深く描き出している。さらに、二人の殺人鬼の日常を見せ、人殺し以外の生活を描くことで“身近にある恐怖"を巧みに演出しているのもこの脚本の優れた点である。レイを演じるデヴィッド・ハーバーは、素顔の見えるこの連続殺人鬼を「役者にとっては怖いくらいに魅力的な役だ。彼らはある面では恐ろしいが、見方によってはある程度自由なんだ」と分析している。

1999年、近くて遠い時代の世界観

本作の中で重要な役割を果たす設定がもう一つ、1999年の時代設定だ。衣装デザインのベッツィ・ハイマン(『パルプ・フィクション』『あの頃ペニー・レインと』)にとって難しかったのは、1999年っぽいと同時に時代を超えた見た目をデザインすることだった。彼女はデザインの大半を暗いものにして映画のトーンを反映し、色彩が各登場人物の特徴や葛藤を表すように調整した。彼女はフランクと共に、この映画の色彩として茶色、濃紺、茶灰色、オリーブ色、レンガ色、暗赤色……乾いた血の色を選び、スカダーの役柄には一様に暗い服を作った。「スカダーは自分を責めている男よ」と彼女は言う。「しょっちゅう服を替えている彼は見たくないし、実際は着替えていても、いつも同じ服を着ているような感じがするほうがいい。彼にコーデュロイのコートを作りたいとは思っていたの。着古して体に馴染んだ、それでいて陰気くさい、茶色かオリーブグリーンのコートにしたかったのよ。ショーン・コネリーが90年代を意識して着ていたハイネックを着せたかった。黒と茶色の組み合わせは流行っていたし、彼の服は基本的にその2色にしたわ」。連続殺人犯のレイとアルバートはその逆だ。「私の中では、アルバートはとても厳格で、レイはちょっと大ざっぱなの。アルバートにはお決まりの服があって、通販でディッキーズの服を買う。一方レイは、身代金を受け取って、バーバリーのキルティングジャケットを買うの」。

こだわり抜いたニューヨークのロケーション

ローレンス・ブロックの小説の中で、ニューヨーク市というのは独特な場所だ。背景となるニューヨークのわびしい冬は、この物語の本質やスカダーの孤独という要素を捉えるための要である。プロダクションデザインのデヴィッド・ブリスビンは、「色彩は最低限に絞って」というフランクの要求を肝に銘じ、デザインがフランクの構想から外れないように、努力を惜しまなかった。生活や感情が決して鮮やかではない状態の人物たちを描いた物語だからだ。ワシントンハイツが本作の重要なロケーションだと確信している彼は、持論を展開する。「いくつかのシーンをあそこで撮ることになってワクワクしたよ。スコットは、スカダーの銃撃戦にふさわしいと思う道路(冒頭シーン)を指定していた。そこへ行った瞬間、まさにこの場所だと思ったんだ」。もう一つの重要なロケ地はブルックリンのグリーンウッド墓地だ。墓守のジョナスが働き、本作のクライマックスでも使われる。ブリスビンは言う。「どんな種類の照明を当てても美しい、素晴らしい場所だったよ」。ケニーの家は、ブルックリンのクリントン・ヒルにあるタウンハウス。プリスビンは「何もかもが崩壊した自宅をケニーが見回す重要なシーンがある。それがタウンハウスでなければならないことはわかっていた。僕はそれが、側面に窓のないただの筒状のものであってほしくなかった。建築的にもキャラクター的にもすべての基準を満たす必要があって、それがかなったんだ」と語った。

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12の掟

1 我々は無力で人生がつらいと認めること 2 我々を超えた力が健康な心に戻してくれるv3 我々の意志と生き方を自分なりの神に委ねること 4 自分自身を恐れずに見つめること 5 自分の過ちの本質を神、自分、別の誰かに対して認めること 6 性格上の欠点を神に取り除いてもらうこと 7 短所を正して下さいと神に求めること 8 傷つけた人の一覧を作り進んで埋め合わせすること   9 直接 埋め合わせすること 10 自分自身を見つめ続け間違った時はすぐ認めること 11 祈りと黙想を通じ神の意志を知り、それを実践する力を求めること 12 霊的に目覚めメッセージを伝えその原理を実行すべく努める